素盞雄神社

由緒

江戸名所図解より

素盞雄大神の別名を「牛頭天王(こずてんのう)」ということから、当社の通称を「お天王さま」といいます。現在はこの「お天王さま」の通称で親しまれている当社ですが、風雅を好む江戸の文人たちには「飛鳥さま」の名が好まれ、文政12年(1829)編纂の『江戸名所図会』では当社を「飛鳥社小塚原天王宮(あすかのやしろ こつかはらてんのうぐう)」と紹介しています。挿絵をひもとくと、かつて日光街道は当社正面の南鳥居前をとおり、門前には茶屋が賑わいをみせ、弁天様を祀る御手洗池が広がっていました。境内に建てられた芭蕉翁の句碑が物語るように、江戸の文人墨客たちには文化交流のサロンとしても親しまれたこの境内を「飛鳥の杜(あすかのもり)」といいます。

春には4月8日「疫神祭」桃の御守ゆかりの一重八重、紅や白の桃花が咲き誇り、秋には「子育ての銀杏」をはじめ樹齢五・六百年という大イチョウから黄色い絨毯が敷き詰められます。四季折々の風情をお愉しみください。

境内案内図 奥の細道矢宣初めの句碑 子育ての銀杏 富士塚・小塚原富士 瑞光石 地蔵・庚申塔 手水舎 狛犬 狛犬 末社	福徳稲荷神社・菅原神社・稲荷神社

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ずいこうせき
瑞光石
ずいこうせき

瑞光石

御祭神が御姿を現され、当社御創建の起源となった小塚の中の霊石です。「神影面瑞光荊石(しんえいめんずいこうけいせき)といい、通称「瑞光石(ずいこうせき)」と呼ばれています。

文政12年(1829)編纂の『江戸近郊道しるべ』には、千住大橋架橋の際、この瑞光石の根が大川(現:隅田川)まで延びていたために橋脚が打ち込めなかったという伝承が紹介されています。

この瑞光石のある小高い塚から「小塚原」の旧地名が起こり、現在周辺小学校の名称(第○瑞光小学校)に冠された「瑞光」もこの瑞光石に因むものです。

御縁起

ふじづか・こつかはらふじ
富士塚・小塚原富士
ふじづか・こつかはらふじ区指定文化財

富士塚・小塚原富士

当社御創建の起源となった「瑞光石」のある小高い塚に、元治元年(1864)、 富士塚を築き浅間神社をお祀りしました。塚上には20基もの奉納碑が伝存し、かつては門前の茶店で疫病除けの麦藁の蛇が土産に売られていたなど、富士参りの参詣者で賑わいをみせていたことがうかがわれます。毎年7月1日に御山開きを斎行し、当日の一定時間に限り登拝をお受けしています(天候により中止の場合もあり)。

こそだてのいちょう
子育ての銀杏
こそだてのいちょう

子育て銀杏

母乳の出ない婦人がその樹皮を煎じて飲み、周囲に米の研ぎ汁を撒いて幼児の無事成長を祈願しました。現在では、初宮詣(お宮参り)に際し絵馬が奉納されています。

子育ての祈願絵馬(初宮詣)

おくのほそみち やたてはじめのくひ
奥の細道矢立初めの句碑
おくのほそみち やたてはじめのくひ区指定文化財

奥の細道矢宣初めの句碑
千寿といふ所より船をあかれは前途三千里のおもひ胸にふさかり幻のちまたに離別のなみたをそゝく 行はるや鳥啼魚の目ハなみた (行く春や鳥啼き魚の目は泪)

松尾芭蕉『奥の細道』矢立初め(旅立ち)となった有名な一節です。「矢立(やたて)」とは、携行用の筆記具のことを意味します。文政3年(1820)10月12日の芭蕉忌に際し、江戸随一の儒学者で書家としても高名な亀田鵬斎が銘文を、文人画壇の重鎮である谷文晃の弟子で大川(現:隅田川)の対岸関屋在住の建部巣兆が座像を手がけるなど、千住宿に集う文人達により建てられました。

建碑以来百七十有余年、永年の風雨により剥落損傷が激しく判読できないために、平成7年当社御鎮座 1200年祭に際し復刻し、これを契機に全国俳句大会をはじめ様々な俳句興隆事業が行われています。

じぞう・こうしんとう
地蔵・庚申塔
じぞう・こうしんとう区指定文化財

地蔵・庚申塔

お地蔵様を中心とした江戸時代の庚申塔三基(区指定文化財)・宝篋印塔などからなる石塔群です。『江戸名所図会』にも境内に「ちそう(地蔵)」の表記があり、往時の様子が描かれています。庚申とは一年に6回巡ってくる干支の「庚申(かのえさる)」のことで、この日には人の体内にいる「三尸の虫」が眠っている間にその人の罪を天帝に告げてしまうために、徹夜して夜を過ごす庚申待の習俗があります。人々は講を形成して寄り合い、三年間で計18回の庚申待を行うと諸願成就するといわれ、その記念に建立されたのが庚申塔です。

当社の延宝6年(1678)建立の庚申塔には、人の罪を「見ざる・言わざる・聞かざる」として三匹の猿と、早く朝が来るようにと二羽の鶏が刻まれています。

狛犬

狛犬

尾の形が特徴的な狛犬。御殿正面左側は珍しい親子の獅子。

手水舎

手水舎

地下140mから御神水を汲み上げています。

末社 福徳稲荷神社・菅原神社・稲荷神社

末社

毎年2月二の午の日に稲荷祭を斎行しています。

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