御社頭に飾られた酒樽を菰樽(こもだる)といいます。江戸の頃、酒は樽に入れて運ばれていましたが、酒の名所である上方(関西)から江戸への海運では、揺られて樽がぶつかり合い傷んでしまいます。それを防ぐため、ワラを織った菰(こも)を巻いたのが、この菰樽のはじまりであるといわれています。
さて、海外で“sake”と言えば「日本酒」のことですが、“国酒(こくしゅ)”という呼び方をご存知ですか。麦の産地からビールがうまれ、ブドウの国からワインです。お米が天の神様からの授かりものであると『古事記』にも記されている稲作文化の国、日本では…。
世界中の在外公館では、要人との会食や大きな行事で国酒を積極的に活用する動きがあり、国内でも「地酒で乾杯!」をうたう条例が各地に見られます。自国を代表する酒が“国酒”、その酒での「乾杯」が文化であり、それが酒席の作法です。
素盞雄神社の行事でも、乾杯はもちろん国酒《日本酒》です。そして、「カンパイ」ではなく「いやさか(弥栄:いよいよ栄える)」で盃を上げます。お正月は国酒で「いやさか!」。一年のはじまりにいかがですか。